身の回りのカタカナ英語を楽しむ
英語を勉強するというと、単語帳を開いて英単語を覚えたり、文法の問題を解いたりすることを思い浮かべる人が多いと思います。もちろん、それも大切です。
でも、英語って実は、私たちの身の回りに溢れているんですよね。テレビを見ても、街を歩いても、商品を見ても、カタカナ英語だらけです。
「オーダー」「サービス」「チャレンジ」「リベンジ」「テンション」「スマート」……。
中には、本来の英語とはかなり違う意味で使われているものもあります。でも私は、それを見つけるたびに「これは間違った英語だから使っちゃダメ!」と目くじらを立てる必要もないと思っています。日本語の中で独自の意味を持つようになった言葉は、それはそれで日本語として楽しめばいい。
ただ、「これ、もともとの英語ではどういう意味なんだろう?」と、ちょっとだけ気にしてみる。そんな癖がつくと、英語との距離がずいぶん変わってくると思うのです。
先日、家族でテレビを見ていたときのこと。たしか「イッテQ」だったと思うのですが、イギリスの国会の映像が流れていました。
イギリスの議会は、議員たちが大声でヤジを飛ばしたりして、かなり騒々しくなることがあるそうです。議場がワーワーと大騒ぎ。そこで議長が声を張り上げます。
“Order! Order!”
番組では「静粛に!」といった感じのテロップが入り、面白おかしく編集されていました。子どもたちは、それを見てケラケラ笑っています。
私も笑いながら見ていたのですが、どうしても気になってしまいました。
「へえ、ここで Order! って言うんだ」
「静かに!」なら、Be quiet! なんかが真っ先に思い浮かびます。でも、議長は Order! と叫んでいる。
order といえば、日本語でも「オーダー」という言葉をよく使います。レストランで「オーダーする」と言えば「注文する」。でも、order には「順序」や「秩序」という意味もあります。
だから、あの場面での Order! は、単に「うるさい!静かにしろ!」と言っているわけではない。「秩序を取り戻せ!」ということなんですよね。
だからこその、“Order!”
私は子どもたちにも、「これ、『静かに』って出てるけど、英語では Order! って言ってるね」「レストランで『オーダーお願いします』って言う、あの order だよ」なんて話をしました。
もちろん、その場で子どもたちに order の意味を覚えさせようなんて思っていません。「はい、じゃあorderには『秩序』という意味があります。覚えましょう」なんて始めたら、せっかく楽しくテレビを見ていたのに台無しです(笑)。
でも、「お父さん、なんでそんなところ気にしてるんだ?」くらいには思うかもしれない。それでいいと思っています。
英語の勉強というと、どうしても「覚えるもの」「問題を解くもの」になってしまいます。でもその前に、言葉を気にする。という感覚があるといいと思います。
街で「SALE」という文字を見たら、なんで sell じゃなくて sale なんだろう。「サービスします」と言うけれど、英語の service って本当に同じ意味なのかな。「テンションが高い」の tension って、英語でもそんな意味なのかな。
そして、もっと身近なところでは、着ているTシャツ。英語が大きくプリントされたTシャツって、たくさんありますよね。
なんとなくデザインとして着ているけれど、よく読んでみると、「え、こんなこと書いてあったの?」なんてこともあります。
それまでただの「英語っぽいデザイン」にしか見えていなかったものが、意味がわかるようになると、急にちょっと面白くなる。街を歩いていて、誰かのTシャツに書かれた英文が目に入って、「なんでその言葉を選んだんだろう(笑)」と、ひとりでクスッとすることだってあるかもしれません。
これも、知っているからこそできることです。
私は、知識が増えるということは、クスッと笑えることが増えることでもあると思っています。
知らなければ、そのまま通り過ぎてしまうもの。知っていれば、「あれ?」と立ち止まれるもの。「そういうことだったのか」と納得できるもの。「いや、それはおかしいでしょ」と笑えるもの。
知識が増えると、同じ景色を見ていても、拾えるものが少しずつ増えていくんですよね。
だから、わからなかったらスマートフォンでちょっと調べてみればいい。「あ、全然違うじゃん」でもいいし、「へえ、そういうところからこの意味になったのか」でもいい。
間違い探しをしたいわけではありません。身の回りにある言葉に、ちょっとだけ興味を持ってみる。大切なのは、そこだと思います。
そして子どもにそうなってほしいのなら、「身の回りの英語に興味を持ちなさい」と言うよりも、大人が先に、「これ、なんでこう言うんだろう?」「ちょっと調べてみよう」「へえ、面白い!」とやっている方が、たぶんずっと伝わります。
英語は、教科書の中だけにあるものではありません。身の回りには、すでに英語の入り口がたくさんあります。
せっかくなら、それをちょっと気にして、ちょっと調べて、ちょっと楽しんでみる。
知っていることが増えれば、日常の中でクスッと笑えることも増えていく。
英語を学ぶ楽しさって、案外そんなところにもあるんじゃないでしょうか。
先生そんなふうに思って、夏期講習終盤を迎えています。
夏休み残りわずか、頑張りましょう!